
朧月夜|歌詞・背景・ことばを日仏で学ぶ
春の月夜を描く「朧月夜」。動画、ふりがな付きの歌詞、フランス語訳、古いことばの意味を一緒に楽しみましょう。
編集:EMA
確認日時: · 出典:JAPANITIES
動画|まずは聴いてみよう
JAPANITIES制作の「朧月夜」。歌詞・ふりがな・フランス語訳を見ながら、春の夕暮れを楽しみましょう。約1分44秒のメロディ付き伴奏で、歌声は入っていません。
背景|どんな歌?
「朧月夜」は1914年に『尋常小学唱歌 第六学年用』に掲載された日本の唱歌です。作詞は高野辰之、作曲は岡野貞一。春の夕方から夜へと移る田園の景色を描いています。1番では菜の花畑、山、空、月を見渡し、2番では村の灯りや人の姿、蛙や鐘の音へと注意が移ります。景色を見るだけでなく、音を聴きながら味わう歌です。
題名|朧月夜とは
「朧」は、輪郭がはっきりせず、ぼんやりしている様子。「朧月」は春の霞などで柔らかくかすんで見える月、「朧月夜」はその月が見える夜です。真っ暗な夜や強く輝く満月というより、景色全体が淡い光に包まれる夜を思い浮かべてください。
歌詞|1番
原文のことばを残し、一部の表記を読みやすくしています。フランス語は内容理解のためのJAPANITIES独自訳で、歌唱用の訳詞ではありません。
- 菜の花畠に 入日薄れ
- 見わたす山の端 霞ふかし
- 春風そよふく 空を見れば
- 夕月かかりて におい淡し
解説|1番の情景
「入日薄れ」は沈む太陽の光が弱くなること。「山の端」は山と空の境目に見える稜線です。「霞ふかし」は霞が濃く、遠くの景色がかすんでいる様子。「そよふく」は風が優しく吹くことです。「夕月かかりて」は夕方の月が空にかかっていて、という意味。ここでの「におい」は鼻で感じる匂いではなく、目に映る色つやや美しさを表す古い使い方として読むと、月の淡い光とつながります。
歌詞|2番
村の景色と、そこで暮らす人や生き物の音が重なります。
- 里わの火影も 森の色も
- 田中の小路を たどる人も
- 蛙のなくねも かねの音も
- さながら霞める 朧月夜
解説|2番の情景
「里わ」は村里のあたり。「火影」は火や灯りの光です。「田中」は人の名字ではなく、田んぼの中という意味で「たなか」と読みます。「蛙」はこの歌では古い読み方の「かわず」。「なくね」は鳴く声、「かねの音」は鐘の音です。「さながら」はここでは「すっかり・そのまま全体が」という意味に取れます。「も」を繰り返すことで、灯りも、人も、音も、一つの夜の景色に包まれていきます。音まで霞んでいるように表現するところが詩的です。
ことばと文法|昔の日本語
「ふかし」「淡し」は、それぞれ現代語の「深い」「淡い」にあたる形容詞の古い言い切りの形です。「かかりて」の「て」は次の表現につなげます。「見れば」はこの景色の中では「見ると」と読むと自然です。「霞める」は現代語の可能形「霞むことができる」ではありません。古典語の「霞む」に、状態の継続などを表す助動詞「り」の連体形「る」が続いた形で、「霞んでいる」と理解できます。
楽しみ方|景色を想像して読む
最初は動画でメロディを聴き、次に歌詞をゆっくり読みましょう。1番で「見えるもの」、2番で「聞こえるもの」を探してみてください。下線のある単語を押すと意味が開きます。知らない単語はお気に入りに入れて復習できます。