梅と日本の暮らし
梅は、古くに中国から伝わったとされます。花を楽しむだけでなく、梅干しなどの保存食や、民間の薬用としても親しまれてきました。
梅酒とは何か、材料、種類、飲み方、料理との相性、家での作り方まで、順に読み進められます。
青梅を氷砂糖とお酒に漬けて、梅の香りと酸味を移します。発酵させる酒ではなく、漬け込んで作るお酒です。
日本の酒税法では、梅酒は「リキュール」に当たります。フランスの crème de cassis やリモンチェッロの仲間です。
甘さと酸味、梅とお酒の香りのバランスで決まります。砂糖の量やベースの酒で、味は大きく変わります。
市販品の多くは10%前後ですが、銘柄で幅があります。必ずラベルのアルコール分を見てください。
数字は目安です。製品ごとに異なります。
梅は、日本の暮らしと深く結びついた果実です。ここでは、梅酒につながる背景を簡単に紹介します。
梅は、古くに中国から伝わったとされます。花を楽しむだけでなく、梅干しなどの保存食や、民間の薬用としても親しまれてきました。
6月ごろ、青梅が出回る時期に、梅干し・梅シロップ・梅酒などを仕込むことを「梅仕事(うめしごと)」と呼びます。季節の家事として、各家庭に受け継がれています。
江戸時代の書物にも梅酒を思わせる記述があるとされ、家庭で漬ける習慣は長く続いてきました。くわしい年代は資料によって異なります。
今では、酒造会社や蔵元、梅の産地の事業者が、さまざまな梅酒を造っています。日本酒や焼酎をベースにしたもの、梅の種類にこだわったものなど、選択肢が広がっています。
同じ梅と砂糖でも、何に漬けるかで香りと口当たりが変わります。
梅の香りがそのまま出ます。家庭で作るときの定番で、35度のものが使われます。
やわらかく、米の風味が加わります。軽めの仕上がりになります。
芋や麦の焼酎なら、原料の香りが重なります。
樽の香りが加わり、コクのある味になります。
名前の付け方に決まりはありませんが、よく見る型です。
| 種類 | 特徴 | 向いている飲み方 |
|---|---|---|
| 定番(ホワイトリカー) | すっきり。梅の酸味がよく分かる | ロック・ソーダ割り |
| 日本酒ベース | まろやかで軽い | 冷やして、そのまま |
| ブランデーベース | コクがあり、香りが深い | ストレート・少量をゆっくり |
| にごり梅酒 | 果肉を残し、とろみがある | 冷やして、よく混ぜて |
| 黒糖梅酒 | 黒糖のコクが加わる | ロック・お湯割り |
梅酒の味は、梅の質に左右されます。梅の収穫は、日本では5月下旬から6月ごろです。
まだ熟していない固い実。香りが高く、梅酒に向きます。
黄色く色づいた実。甘い香りがあり、やわらかい仕上がりになります。
和歌山県は梅の産地として知られ、大粒で果肉が厚い「南高梅」が有名です。
ゆっくり溶けて、梅のエキスをゆるやかに引き出します。
品種によって、実の大きさ、香り、果肉のようすが違います。
大粒で果肉が厚く、梅酒にも梅干しにもよく使われます。和歌山県が代表的な産地です。
比較的固く、すっきりした香りとされます。ほかにも、小粒で香りの強い品種があります。
傷やしわが少なく、固くて、緑色が濃いものを選びます。黄色くなったものは、甘い香りの梅酒になります。
市販の梅酒は、ラベルを見ると味の見当がつきます。ここでは、見る場所を整理します。
| 見る場所 | 見かける表記 | ポイント |
|---|---|---|
| 原材料名 | 梅、糖類、ブランデー、醸造アルコール など | 日本の表示では、一般に使用量の多い順に書かれます。梅が最初に来るか、何がベースかを確認します。 |
| 添加物 | 酸味料、香料 など | 入っていないものを選びたいときは、ここを見ます。 |
| アルコール分 | ○度、○% | 割って飲むなら低めでも、ストレートなら高めでも楽しめます。 |
| 産地・製造者 | 国産梅、和歌山県産、○○酒造 など | 梅の産地や、造り手の個性を知る手がかりです。 |
| 甘さ・梅の量 | 甘口・辛口、梅の使用量 など | 書かれている商品もあります。書かれていなければ、少量を試してから選びます。 |
梅酒は、漬けた日から少しずつ味が変わります。期間は目安です。
| 期間 | 色と香り | 味の目安 |
|---|---|---|
| 約1か月 | 薄い黄色、青い梅の香り | 酸味と角が立ち、まだ若い |
| 約3か月 | 黄金色 | 梅の風味が出て、飲み始められる |
| 約6か月 | 色が濃くなる | まろやかになり、バランスがよくなる |
| 約1年 | 琥珀色 | 梅を取り出す目安。味が落ち着く |
| 2〜3年以上 | 深い琥珀色 | 香りが複雑に。好みが分かれる |
甘いので、割って飲むと食事にも合わせやすくなります。
| 飲み方 | 割り方の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ロック | 氷にそのまま注ぐ | 香りと甘さをそのまま楽しむ |
| ソーダ割り | 梅酒1:ソーダ2〜3 | 軽く爽やか。食事に合わせやすい |
| 水割り | 梅酒1:水1〜2 | やさしい味で、飲み疲れしにくい |
| お湯割り | 梅酒1:お湯1〜2 | 体が温まる。冬向き |
| ストレート | 小さなグラスで少量 | 食後酒(デザート酒)として |
割合は好みで調整してください。
日本の材料がなくても、スーパーで買えるものでできるアレンジです。分量は目安です。
氷を入れたグラスに、梅酒40ml、炭酸水80〜120ml(Perrier、Badoit、San Pellegrino など)を入れ、軽く混ぜます。レモンを少し絞ります。
梅酒40mlにトニックウォーター100mlと氷。ライム(citron vert)を添えると、さっぱり飲めます。
フランスのキールのように、辛口の白ワインやクレマン(Crémant de Bordeaux など)100mlに、梅酒を20mlほど加えます。ボルドーの白ワインとも合わせられます。
梅酒40mlにジンジャーエールまたは ginger beer を80ml。薄切りのレモンを添えます。
梅酒50mlにお湯100ml。しょうがを1枚入れると、体が温まります。
バニラアイスに、梅酒を小さじ1〜2。漬けた梅を刻んで添えると、手軽なデザートになります。
甘酸っぱさは、脂のある料理や塩気のあるものと相性が良いです。
ソーダ割りが、油をさっぱりさせます。
酸味が、タレや脂とよく合います。
甘みと塩気の組み合わせです。フランスの食卓にも合います。
少量をかけると、簡単なデザートになります。
「梅のワイン」と呼ばれることがありますが、作り方は別のものです。
| 項目 | 梅酒 | 日本酒 | ワイン |
|---|---|---|---|
| 作り方 | 梅をお酒に漬ける(浸漬) | 米と麹を発酵させる | ぶどうを発酵させる |
| 主な原料 | 梅・砂糖・お酒 | 米・米麹・水 | ぶどう |
| 分類 | リキュール | 醸造酒 | 醸造酒 |
| 甘さ | 甘いものが多い | 甘口〜辛口 | 甘口〜辛口 |
「果物をお酒に漬けて甘くする」点は、ヨーロッパのリキュールにも通じます。
| 項目 | 梅酒 | クレーム・ド・カシス | リモンチェッロ |
|---|---|---|---|
| 主な果実 | 青梅 | 黒すぐり(カシス) | レモンの皮 |
| 度数の目安 | 約10〜15% | 約15〜20% | 約25〜30% |
| 味 | 甘酸っぱく、梅の香り | 濃厚で甘い、ベリーの香り | 柑橘の香りが強い |
| 飲み方 | ロック・ソーダ割り・キール風 | キール・カクテル | 食後に冷やして |
日本の家庭で長く親しまれてきた作り方です。材料は少なく、手順も多くありません。
| 材料(目安) | 分量 |
|---|---|
| 青梅 | 1kg |
| 氷砂糖 | 500g〜1kg(好みで) |
| ホワイトリカー(35度) | 1.8L |
傷のない梅を選び、洗って水気をよくふきます。
竹串で、へたを取ります。
消毒した保存びんに、梅と氷砂糖を交互に入れます。
ホワイトリカーを注ぎ、冷暗所で保存します。
ときどき、びんをやさしくゆすります。3か月ほどで飲めますが、半年〜1年おくと味がまるくなります。
日本では、販売をしないこと、アルコール度数20度以上のお酒を使うことなどの条件で、家庭で梅酒を作れます。国や地域で規則が違うため、お住まいの地域のルールを確認してください。青梅の実や種を、そのまま食べないでください。
日本の梅やホワイトリカーが手に入らなくても、フランスで買えるものを使って作れます。梅の入手がいちばんの課題なので、まず材料の置きかえから見ていきます。
| 日本の材料 | フランスで使うもの | 買える場所と注意 |
|---|---|---|
| 青梅 | 生の青梅(日本食材店)、冷凍の梅、または固いプラム | 生の青梅は、6月ごろに入荷する店があります(要問い合わせ)。代わりに、まだ固い小粒のプラム(mirabelle、Reine-Claude など)を使うと風味は変わりますが作れます。 |
| 氷砂糖 | sucre candi(blanc) | スーパーの製菓・砂糖売り場にあります。なければ普通のグラニュー糖でも作れますが、早く溶けます。 |
| ホワイトリカー(35度) | ウォッカ(37.5〜40度)、または fruits 用の alcool blanc(40度前後) | スーパーや酒店で買えます。度数が高いと抽出が早く、味は強めになります。ラベルの度数を確認してください。 |
| 保存びん | bocal à joint(Le Parfait、Weck など)1.5〜3L | スーパー、ホームセンター、台所用品店にあります。熱湯で消毒し、よく乾かします。 |
| 竹串 | piques en bois(cure-dents) | へたを取るのに使います。 |
青梅(または固いプラム)1kg、sucre candi 500g〜700g、ウォッカ(37.5〜40度)または alcool blanc 1.8L。
傷のない実を選び、流水で洗って、キッチンペーパーで水気をよくふきます。水気が残るとカビの原因になります。
竹串(または cure-dents)で、へたを一つずつ取ります。
熱湯で消毒して乾かしたびんに、実と砂糖を交互に入れます。
実が浸るまで、ウォッカ(または alcool blanc)を注いで蓋を閉めます。冷暗所(食器棚の中など)に置きます。
最初の1〜2週間は、砂糖を溶かすように、ときどきびんをゆすります。
3か月ほどで飲み始められ、半年〜1年でまろやかになります。プラムは梅より実が崩れやすいため、味を見ながら3〜6か月を目安に実を取り出してもかまいません。
青梅1kgと sucre candi 1kgを、消毒したびんに交互に入れます。1〜2週間で梅のエキスが出ます。水や炭酸水で割って飲みます。
これらの分量と期間は、日本で一般に紹介されている目安に、フランスで買える材料を当てはめたものです。実や砂糖の状態で仕上がりは変わります。自家製のお酒について、販売や提供の規則は国ごとに異なるため、お住まいの国のルールを確認してください。生の青梅や種は、そのまま食べないでください。
見た目で心配になりやすい点と、対処の目安です。気になるときは、においを確かめてください。
| 状態 | 考えられる理由 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 梅が浮く | 氷砂糖がまだ溶けきっていない | ときどきびんをゆすり、梅が液に浸るようにします |
| 白く濁る・沈殿 | 梅のエキスや砂糖で出ることがある | 変なにおいやカビがなければ、多くは問題ありません |
| 梅がしわしわ | 梅の水分が出ている | 自然な変化です |
| 苦い・えぐい | 梅を長く入れすぎた、または種の影響 | 1年を目安に梅を取り出します |
| カビ・異臭 | 消毒や乾燥が足りなかった | 飲まずに処分し、次回はびんの消毒と水気の除去を徹底します |
| 甘すぎる | 砂糖が多かった | 炭酸水や氷で割ります。次回は砂糖を減らします |
取り出した梅は、少量ならそのまま食べられます。アイスに添えたり、ケーキに刻んで入れたりしても楽しめます。種は食べません。
日本食材店やオンラインで見つかります。名前の付け方がさまざまなので、ラベルを確認してください。
「umeshu」「Japanese plum liqueur」などと書かれます。英語の「plum wine」は通称です。
度数、砂糖の量、ベースの酒が書かれているものを選ぶと、好みに近づけます。
開栓後は、冷暗所か冷蔵庫に置き、早めに飲み切ります。
甘くて飲みやすいですが、アルコールは入っています。
梅酒は、青梅を氷砂糖とお酒に漬け込んで作る、甘酸っぱいお酒です。発酵させて作る日本酒やワインとは違い、漬けて作るリキュールにあたります。
市販品の多くは10%前後ですが、銘柄によって幅があります。ラベルのアルコール分で確認してください。
ロック、ソーダ割り、水割り、お湯割り、ストレートなどがあります。甘いので、ソーダ割りは食事にも合わせやすい飲み方です。
日本では、販売しないこと、20度以上のお酒を使うことなどの条件で、家庭で作れます。材料は青梅・氷砂糖・ホワイトリカーで、3か月ほどで飲めます。国や地域で規則が違うため、お住まいの地域のルールを確認してください。
日本食材店やオンラインで見つかります。ラベルには「umeshu」「Japanese plum liqueur」などと書かれることが多く、英語の「plum wine」は通称です。
作れます。氷砂糖は sucre candi、ホワイトリカーはウォッカ(37.5〜40度)や果実用の alcool blanc、保存びんは Le Parfait などの bocal で代用できます。青梅は日本食材店で6月ごろに入る店があり、なければ固い小粒のプラムでも作れますが、風味は変わります。
少量ならそのまま食べられます。アイスに添えたり、ケーキに刻んで入れたりしても楽しめます。ただし、種は食べないでください。
3か月ほどで飲み始められます。半年から1年でまろやかになり、1年を目安に梅を取り出します。期間は目安で、好みで調整してください。